
手のひらに太陽の家プロジェクトの主催団体である私たちNPO法人日本の森バイオマスネットワークは、東日本大震災直後から被災地での支援活動を続けてきました。その中で、過酷ともいえる仮設住宅の環境やコミュニティが引き裂かれることへの不安の声に直に接してきました。そうした状況を受けて、森林資源の活用を呼びかけてきた私たちとして何が出来るかを考えました。復興までの間をプレハブ仮設住宅で過ごす代わりに、国産材を使った安心安全な住環境を提供し、孤立することなく安心安全に暮らすことができる場所を作ろう。さらに自然エネルギーを取り入れて、復興に向けて新しい社会のモデルとなる家にしよう。
そして、復興共生住宅「手のひらに太陽の家プロジェクト」が始まりました。

1、住人同士の共生…住む人にやさしい家
被災者の入居する8つの個室と共用のリビング・食堂があります。
プライバシーを守りながらも子どもたちの孤立を防ぎ、共同生活を営みながら安心して暮らせる環境を提供します。
2、地域との共生…住む街にやさしい家
地元の木、地元の業者を活用することで被災地の経済の活性化に貢献し、運営においても地域とのつながりを大切にしながら、復興の拠点の一つとなることを目指します。
また、将来的には地域の発展を担う環境教育や交流の施設として活用します。
3、自然との共生…自然環境にやさしい家
国産材と自然素材を使った長持ちする建物で、様々な自然エネルギーを生活に導入する工夫を施し、環境にも最大限配慮した持続可能な暮らしを提案します。
被災地の多くで検討されている循環型社会の形成に向けた新しい住宅モデルとしても役立てることを目指しています。

手のひらに太陽の家では東日本大震災によって様々な困難に直面している子どもや親子が入居できる共生住宅です。特に福島第一原発事故の影響により、放射線量の高い地域に生活する子どもの保養滞在を受け入れています。
施設にはスタッフが常駐し、生活や教育、保育、就労などの支援や登米市の自然環境を活かした体験プログラムを行うことで入居者のケアやサポートを行います。

小林武史氏(音楽プロデューサー)
震災後、すぐにこのプロジェクトの拠点の一つでもある栗原市の木材会社に行ってきました。そこには、人間と自然の本来のつながりが息づいていて安心したのですが、このプロジェクトには、さらにビジョンを共有できるモンベルのような企業も参加されています。これからも、復興のために今までにない開かれた繋がりが次々と生まれていってほしいです。僕たちap bankもぜひ参加できたらと考えています。(手のひらに太陽の家、2011年7月11日付プレスリリースより)
岡田武史氏(元サッカー日本代表監督)
私たちは、今回の震災を機に、エネルギー問題やライフスタイルの転換についても深く考えざるを得なくなりました。自然エネルギーを活用した持続可能性と、コミュニティとの連携を重視したこの復興住宅は、これからの私たちの生活にいろいろな提案をしてくれることでしょう。私が長年にわたり携わってきた環境教育の分野でも協力していけたらたらと考えています。(手のひらに太陽の家、2011年7月11日付プレスリリースより)

2013年1月、NPO木の建築フォラムの主宰する第8回木の建築賞・大賞を受賞しました。
木造建築物としての価値だけでなく、震災直後から被災者のために自然の素材を活かした居心地の良い場所を創り上げようと協力者の環を広げながらプロジェクトを実現させた過程が高い評価を得ました。
<木の建築賞とは>
木の建築文化と芸術の振興、森林の保全と木材産業の振興や森林資源の循環、木の建築技術の継承と発展に寄与している建物や取り組みを表彰する制度です。
2012年9月に第7回モンベルチャレンジアワードを受賞しました。東日本大震災後に0から始まり、たくさんの方の協力を得ながら実を結んだプロジェクトが失敗を恐れない独創的な挑戦として評価されました。
<モンベルチャレンジアワードとは>
自然を対象に、あるいは自然を舞台として、人々に希望や勇気を与え、社会に対して前向きなメッセージを伝える活動を応援する目的で2005年にモンベルによって創設された制度です。

<キッズデザイン賞とは>
キッズデザイン賞は、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」そして「子どもたちを産み育てやすいデザイン」というキッズデザインのミッションを実現し、普及するための顕彰制度です。乳幼児用品や玩具などの子ども向けの製品・サービスに限らず、大人向けのものでも、子どもに対する配慮がなされた良質な商品や施設、プログラム、調査研究活動などを幅広く募集しています。